彫刻刀の特長

キャップと安全ガード

ステンレス製刃について

文溪堂の彫刻刀は刃物用ステンレスを採用

文溪堂のハイカーボンステンレス彫刻刀の刃は日本製ステンレスです。
ハイカーボンステンレス刃は、プロ仕様の洋包丁やナイフ、高級はさみなどに使われている刃物のために開発された高級刃物用ステンレスを、彫刻刀に向くようにさらに改良を加えた、高強度・耐摩耗性・強靱性を兼ね備えたステンレス刃です。

なぜ? ステンレス製刃なのか?

従来の鋼(ハガネ)材は刃物の材料として、鉄を主成分としており、硬くて鋭い刃先が形成できる非常に優れた性質を持っていて、手入れ次第では長期に渡り切れ味を保ちます。
しかし、児童の彫刻刀の使用においては十分な手入れ(メンテナンス)ができていない場合があります。

従来の鋼材は手入れを怠ると刃先の薄い部分からサビが進行し鋭利な刃先が虫歯状態になってしまいます。
サビついた刃物は切れ味が悪く、彫刻作業においては無理な力が必要となり、それが怪我につながることもありますので、刃物のサビはたいへん危険であると言えます。

また、過去のステンレス鋼は、その特性を引き出すための熱処理が非常に難しく、一般に使われているステンレス包丁などは「切れない」との定評が付いてしまっていました。
しかし現在、KAIグループ(共同開発会社)はステンレス鋼の特殊加工処理を確立し、硬くてネバリのある材質のステンレス鋼を使用した刃物の開発生産をしています。
プロ仕様の高級包丁やナイフなどがステンレス製になっていることで、ステンレス刃の実用性は証明されているといえます。

文溪堂のハイカーボンステンレス彫刻刀は、貝印刃物の特殊加工処理を施した刃を採用していますので、品質面では抜群のものです。

ステンレスと鉄との違い

ステンレスは、鉄を主成分として、これにクロムやニッケルなどの元素を含有させた合金です。
サビにくいのは、鉄にクロムを添加すると表面に非常に薄い酸化皮膜(不動態皮膜)が形成され、周辺環境と反応しにくくなり耐食性が強くなるためです。
一般的には、クロムを約11%以上含有させた鋼をステンレスと定義されています。
これはクロムが約11%以上になると、サビにくさ(耐食性)が飛躍的に向上する性質から来ています。

不動態皮膜について

鉄にクロムが混ぜられると、クロムが酸素と結合してステンレスの表面にうすい酸化皮膜(不動態皮膜)ができます。
この不動態皮膜はあらゆる媒体を遮断する、目に見えない緻密な保護膜なのです。
また、ガラスのような非常に緻密で密着性の良い柔軟な構造をとっているため、地金のステンレスにうまくくっつき、均一で薄い化学的に安定した膜になっていると考えられています。
その厚さは100万分の3mm程度と大変薄いため肉眼では見えませんが、非常に緻密で堅く簡単に破壊・侵食されることはありません。
また、不動態皮膜は傷ついても、その部分のステンレス表面が直接空気中の酸素と触れるようにすれば、ステンレスに含まれるクロムが酸素と結合して皮膜を再生しますので、サビにくいというわけです。
ステンレスは、この不動態皮膜によって美しさを保つことができるのです。

ステンレスのサビとは…

ステンレスの表面に軟鋼・亜鉛・アルミニウムなどの異種金属が長時間接触または連結した状態で放置され、間に水分(湿気・結露等)を含むと、電池作用によりこれらの異種金属が腐食を起こし、鉄分が溶け出した錆が発生します。
これはステンレス自身がサビたのではなく「もらい錆」といいます。
以上のことから、ステンレスは異種金属との接触はできるだけ避ける必要があります。
ステンレスをいつまでも美しく保つには、簡単なメンテナンスが必要です。

軽度の汚れやしみ…中性洗剤や石鹸水を布やスポンジに含ませ、その後水洗いや水拭きをして、最後に乾いた布で仕上げをしてください。
初期のサビ(もらいサビ程度)…市販のクレンザーを用い、スポンジやタワシ等で除去してください。その後は十分な水洗いをして最後に乾いた布で拭いてください。