特別活動データべース


文部科学省教科調査官 杉田洋先生からのメッセージ

心を育て,つなぐ特別活動~道徳的実践へのアプローチ~/杉田 洋 編/著

魅力ある特別活動の展開を期待して

全国の学校には、特別活動に熱心な実践者がたくさんいます。私もかつて、その一人でした。
「特別活動に熱心な学校はいい学校」「特別活動に熱心な先生はいい先生」というキャッチフレーズに誘われて、勉強を始めました。当時は、学級会をどう育てたらいいのか、どうしたら魅力ある児童 会活動、クラブ活動、学校行事にすることができるのかなど、挑戦と試行錯誤の連続でした。

その長い経験から、「先生方が特別活動に熱心に取り組めば、チームワークが引き出され、学校生活に活力が生まれてくる」「子どもたちに特別活動に熱心に取り組ませれば、それが笑顔あふれ る学校づくりにつながり、一人一人に豊かな人間性や社会的な実践力が育ってくる」という確信をもちました。 そして、文部科学省教科調査官に就いた今、「多くの子どもたちに居場所と活躍の場を与 えることができる特別活動は、子どもたちにとっての学校生活を豊かで幸せなものにする」という確信も深まってきました。

特別活動を取り上げた唯一の月刊誌である月刊『道徳と特別活動』では、毎月、「子どもの実態や育ちをつかむ!! 特別活動評価力向上研究」において、最新の指導理論と具体的な実践を紹介しながら、先生方の評価力向上につながる内容を連載しています。また、「日本全国 がんばれ!! 特別活動応援団」では、日本を横断する形で、全国の特別活動に熱心に取り組んでいる実践者の取組が紹介されています。これらを参考に、学校にとって、子どもたちにとって、魅力ある特別活動が全国の学校で展開されることを、心から期待しています。

日本全国 私の特別活動この1枚!!

月刊『道徳と特別活動』4月号掲載

切実感をもち、互いの関わり合いを深める話合い活動の工夫
埼玉県東松山市立青鳥小学校教諭 内田恵子

     私は、特別活動の充実は元気な学校づくりにつながると確信しています。本稿では、私が日ごろ、学級活動を行う際に工夫しているポイントを三つ紹介します。
  • 話し合う切実感を高める工夫
     話し合う切実感を高めるために、事前にアンケート調査を行い、提案理由の根拠となる学級の実態を数値化して提示します。このことにより、児童は、自分が考えていた学級の実態と、実際の現状との違いに気付き、話し合う切実感をもつことができます。
     また、提案理由はグラフや図、イラストを活用し、どの児童も問題について、共通理解をもって、話し合うことができるようにします。
  • 話合いの焦点化を図る工夫
      話合いの焦点化を図るために学級活動ノートに書かれている意見を、事前に短冊カードに書き、種類ごとに掲示しておきます。学級の傾向や友達の考えが可視化され、話合いの焦点が明らかになります。また、短冊カードに意見を書くことにより、意見を合体したり、移動したりすることができ、話合いの整理ができます
     他にも、今何を話し合っているのかを明確にしたり、時間を意識して進行したりするための工夫もしています。
  • 関わり合いを深める工夫
      児童相互の関わり合いを深めるために、友達の意見と自分の意見を必ず関連させて、話すようにしています。「AさんとBさんの意見のよいところを合体して〜」「Cさんの言いたいことは〜だと思います」のように、友達のよさを認め、助け合うようにしています。また、計画委員の進行を助ける発言も大切にし、互いに助け合う集団を目指しています。
     以上のような工夫をすることで、切実感をもち、互いの関わり合いを深めながら、話合い活動をすることができます。

【特集】 1年の好スタートを保障する3つの学習環境づくり

●論考
年度当初の学習環境づくりの基礎
國學院大學教授/宮川八岐
道徳における3つの学習環境づくり
東京都中野区立緑野小学校副校長/松井 敏
特別活動における3つの学習環境づくり
埼玉県川越市立中央小学校教務主任/大澤 崇

●実践紹介
「道徳の時間を補助し実践を促す学級掲示の工夫」斎藤惠美
「道徳の全体計画を作成する」野村宏行
「子どもがつくり、活用する学級掲示物の工夫」魚住千尋
「心地よく自分が生きる学級生活のスタート」砂永牧子

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