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新学習指導要領と「生きる力」
中央教育審議会副会長・教育課程部会長
兵庫教育大学長
梶田叡一

新しい学習指導要領では「確かな学力」が大事です。この「確かな学力」を土台にした総合的な人間力という意味での「生きる力」を養うのが今回の学習指導要領の改訂です。この「確かな学力」を養う上での武器となるのが「言葉の力」です。内容上のポイントとしては、理数系の学力、伝統文化の教育、小学校5年生からの英語教育です。
「生きる力」は、総合的な人間力ですが、「確かな学力」と「豊かな心」と「健やかな体」の3つの面からできています。
10年前の答申でも「生きる力」という文言が使われており、この「生きる力」の理念は今回も変わりません。でも、ニュアンスは大きく変わっています。
前回の改訂では、「ゆとり」の中で「生きる力」を養うという表現が、答申の中で何度も出ていました。授業時数や授業内容を減らす中で「生きる力」を養う、言ってみれば勉強以外のところで養うとしたのです。勉強を「生きる力」と対称的なところにおいたわけです。「勉強ばかりしていてもだめですよ」、「たくさん知識を得てもどうにもなりませんよ」というニュアンスがありました。
今回の改訂では、勉強を通じてしか「生きる力」は養われない、と考えています。人間として「生きる力」の土台には知性がなければならない、理性がなければならないのです。それが人間的な成長・発達ということです。ものを知らないで、ものを考えることができないで、いろいろなことを理性的に判断できないで、“生きがいい”だけでは駄目です。目が輝いていたり、生き生きしていたりするだけでは、動物と一緒です。そういう誤解が広がらないようにしたいわけです。
10年前には、ニュアンスの違いや理解のズレが生じたわけです。今回はそうならないようにします。こうとらえておくと、今回の改訂の意味合いが鮮明になるでしょう。
【図】新しい学習指導要領の目指すもの
2008年3月告示

A4判 本文2色192ページ
定価 1,000円(本体952円+税)
この一冊で総則、各教科、領域にわたる新学習指導要領の全容が見える!!
企画・編集:財団法人総合初等教育研究所
発行:株式会社文溪堂
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