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「学習の手引」を活用し,子どもの学習力を育てる

【1】 1.「学習の手引」の活用

私は子どもの学習力を育てるために,教科書の巻末にある「学習の手引」(以下「手引」)を活用すると良いと考えている。
国語科の教科書では,「手引」に単元目標に沿った学習内容が明記されている。この「手引」を子どもたちが読み解くことで,学習活動が拓けるのである。すなわち,子どもたちが「手引」を活用できるようになることは,学習力が育っている証であるといえる。

このことを,『動いて,考えて,また動く』(光村図書出版「国語四上 はばたき」)で考えてみたい。この単元の活動目標は,「読んで,自分の考えをまとめよう」である。「手引」には,「いちばん心にのこったのはどんなことでしたか。くわしく読み,考えを深めましょう。」という学習活動への誘いがある。「心に残ったことはどんなことですか。」,「くわしく読みましょう。」ということだけを取り上げれば,従来どの教室でも指導されてきたことであり,それほど珍しいことではない。

   

「心にのこったことはどんなことですか。」「何が書いてありましたか。」ということだけを取り上げれば,日頃,どの教室でも指導してきたことであり,それほど珍しいことではない。
違いは,この後に続く「手引」の文章である。文末に注目する。
文末は,「どの段落にありますか。」「解説している文はどれですか。」「ノートに書きぬきましょう。」など,学習活動を具体的に促している。これらの言葉は,これまでの授業の中で,教師が発問や指示として小出しにしてきたものばかりである。「手引」では,教師が独り占めにしてきた事柄を子どもに分かるように提示しているのである。

【2】 「学習の手引」を学習する時間を設ける

『動いて,考えて,また動く』では,「いちばん心にのこったのはどんなことでしたか。くわしく読み,考えを深めましょう。」という問いから始まる。この文章を子どもと共に読む。当然,理解できない子が出てくる。学習は,理解できないことを自覚することから始まるのである。
「“くわしく読む”ということが分かりません。」
「“考えを深める”ということが分かりません。」
 「手引」を読んだ後,このような質問が生まれる時,すでに,子どもを学習力育成の入り口に導いたことになる。教師が先に立って,「文章をくわしく読みましょう。」「考えを深めましょう。」と指示をし,それを受けて文章を読み,考えを述べ合っていた授業とは勢いが違ってくる。自分で問いを見つける学習と指示を受けて考える学習の違いである。
 「手引」を学習する時間を設けることで,学習活動が拓けるのである。

  • 筆者は,第一段落で「『まず動く,そして考える』ことが大切です。そうして何度も成功や失敗をくり返しながら工夫を重ねると,きっと,自分にとって最高のものを実現できます。」と自分の考えを書いています。(「手引」より)
  • 第二段落から第六段落までをくわしく読みましょう。筆者は,自ら体験した事実と,それについての解説を書き分けています。(「手引」より)

「手引」に示しているこれらの事柄は,文章の読みどころである。従来の授業では,答えになる内容である。いわば,教師の手の内を明かしている。答えを見つける学習から答えを見つける過程を大事にすると,学習活動に変化が生まれる。「手引」を読む時間の確保は学習力を育てることにつながる。「手引」を読み,わかること,わからないことをふるい分ける力を育てることも学習内容として位置づけるのである。

【3】 「手引」を活用するまでに育てておきたいこと

「手引」を活用するまでに育てておきたいことは,教材となる文章の大体を理解させておくことである。教材の内容がそれほどわかっていないのに,「手引」を読ませても活用することはできない。
従来の授業でいえば,第一次に位置づけていた読みの段階を丁寧に行う。つまり,教材の大体を理解する読みを繰り返すのである。

「わたしは,かつて陸上四百メートル走の選手であり,今はコーチとして指導をしています。」という文章は,見逃すことが多い。
しかし,筆者が三回のオリンピック選手であり,四百メートル走の日本記録を打ち立てた選手であったことを知ることで,後に続く,「毎日毎日この練習を繰り返してきました。」や「なやみ始めました」に共感し,筆者の声を聞こうとする読み方に変わってくる。

それは,体験した事実と解説に書き分けていることを理解する読みにつながる。
教室で使うことばでいえば,すらすら読めることを目指すのであるが,それは「手引」を活用できる力につなげるものであってほしいと思っている。

そのためには,大事な言葉や文については,「大事なことは何ですか。」というような突き放ではいけない。「この文は,「手引」を学習するときに大事になります。」と意図的に指導するのである。「手引」が理解できるように文章全体を読み解く指導を大事にする。この段階で,読む力が育っていると言える。

【4】 学習力を育てる授業

学習力を育てる授業では,子どもの発表や学習感想が単元目標につながっている。

感想例(1)
 「動いて,考えて,また動く」を勉強しました。感心したのは,何回も練習を繰り返し,工夫したことです。
感想例(2)
 「自分の考えをまとめよう」という勉強をしました。「動いて,考えて,また動く」では,大事な文が,始めと終わりの段落に書いていました。

感想例(1)は,従来の教師の指導によって生まれていたもの。
感想例(2)は「手引」の活用で生まれたもの。前者は教材を読む完結型とすれば,後者は次の課題に取り組む追求型であるといえる。

「手引の中で,わからない部分があるので教えてください。」 このような言葉の行きかう国語教室が,学習力を育てる。

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